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何から書き始めてよいのかもわからないままここに戻ってきて約2ヶ月だということに気づかされる。あのころの僕はここにはいないような気がして、でも僕はここでこれから生きていかなくてはいかなくて、そんなことをずっと考えながら2ヶ月が立ったような気がする。そういえばこの前敦賀から小浜線に乗る機会があって、例のように30分も前からホームに停車している電車に乗り込んで本を読んでると、隣のホームに寝台列車「日本海」が滑り込んでくるのが見えた。行き先は青森。そういえば昔列車が好きだった僕は、親からもらった列車の写真が載った本を飽きずに毎日眺めてた。そして敦賀駅に停車している、どこへ行くのかもわからない夜行列車に乗った自分を想像していたのかもしれない。カメラを持たなくなった僕は、それでもこの世界をファインダーの中に写る世界のように切り取って見つめる。青森行きの夜行列車は僕を残して夜の旅へと走り去る。
American Tune
LAXからのグリーンライン。
思えば始まりもこの場所だった。
2人の少年とバスケットボール。
時間を聞かれる。1時52分だと答える。
そしてその瞬間この最後の数日間は写真を撮るまいと心に決めた。
窓からの風景。
どこかへ向かうこと、この場所を去ること。
僕はこの過ぎ去る風景を眺めなければいけない。