“いっそ、僕は怠け者で、ずるくて、親に金をせびって生きている、だめな奴なんだと告白したほうが、清々するのではないか。何をやっても永つづきしないし、何をやっても失敗する男だ、と。同級生はみんな就職して一人前になっているのに、一人だけまだ甘ったれているヨジャレだ、と。アメリカをだしにして、のらくら暮らしている親不孝者だ、と。”

“あなたって、気が弱そうで、人がよさそうに見えて、そのくせ、案外、図々しくて、狡いところもあるの。つまり朴訥で狡猾”

“不思議な気がするだけさ。もし僕が東京に生れていたら、どうなっていたかなあと思うんだ。やはり『夏服を着た女たち』を訳してみたいと思うだろうか。・・・”


(『遠いアメリカ』 常盤新平